欠陥住宅の見分け方

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欠陥住宅の見分け方

家づくりのシステムは、大工さんの木工事を中心として、きわめて複雑な分業によって行われています。多くの異なった技能者が集まって1つのものを完成するという点では、家づくりと映画作りのシステムはよく似ているといえます。
しかし、家づくりは映画作りにはない難しさがあります。簡単に説明すると、家づくりと映画作りの基本的な違いは、工程の積み重ね方の違いにあります。映画作りは撮影、録音、編集などの各工程は独立して行われ、各工程を組み合わせることで最終的な作品に仕上がります。このため、各工程で起二つたミスが他の工程に与える影響はそれほど決定的ではなく、工程間の調節や修復によって補完しあうことも可能です。これに対し、家づくりの工程は、工程の上に工程を積み重ねる方法ですから、工程が進むにつれて、前の工程が隠れる特徴をもっています。

欠陥住宅が生まれるメカニズム

まず、ミスが生まれるメカニズムを考えてみましょう。一軒の家が完成するまでには実にたくさんの人間がかかわり、ピラミッドをつくるように一つ一つの工程を下から順番に積み上げていきます。しかも、リハーサルややり直しが許されない現場での一回限りのぶっつけ本番ですから、ちょっとした行き違いが取り返しのつかないミスに結びつく可能性を常にはらんでいます。以下、具体的な家づくりの工程を追いながらミスの発生原因をみていくことにします。

欠陥住宅の発生原因

家づくりの第一歩は基礎工事から始まります。
地盤調査の結果によっては、基礎工事の前に杭工事や地盤改良工事などの工事の必要がありますがここでは基礎工事から考えて
いくことにします。
基礎工事とは土を掘って基礎底を作り、その上にコンクリートを立ち上げる工事をいいますが、土を掘ったり、その底に石を敷き詰めたり、コンクリートの芯となる鉄筋を組んだりするのもすべて人の手によって行われます。

欠陥住宅と基礎工事

現在ではユニットとして製品になっていろものもありますが、曲がりの部分や鉄筋を切ったり張ったりする部分は、現場で調整しなければなりません。
それらがすべて完了すると、実際にコンクリートを流し込み、基礎が完成します。
1000分の5の水平レベルの狂いが問題となる家づくりにあって、この基礎工事における各工程ですべての手作業を1000分の1ないし1000分の2の精度で仕上げるためには、よほどの熟練と集中力を必要とすることは容易に想像がつくでしょう。

分業化は近代経営の成果

責任者を置いているからといって安心できません。分業化を進め、各セクションに責任者を配置し、一見責任体制がしっかりしていそうに見えますが、裏を返せば責任の分散であり、リスクの分散を図っているのです。棟梁が高いレベルで全責任を負っていたのとは大違いです。
分業化は近代経営の成果かもしれませんが、こと家づくりに関してはそれほど優れたシステムにはなっていないようです。これからの施工請負契約に当たっては、契約の当事者として現場の管理責任者を明示することを提案しているのもそのためです。